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Fairlife:AIビジョン検査で数千個/日のヨーグルト容器包装チェックを100%自動化

  • Writer: Ryosuke Murai
    Ryosuke Murai
  • Feb 26
  • 4 min read

Updated: Feb 27


乳製品などの食品メーカーにとって、フタの装着不良やラベルの印字ミスはブランドと安全性に直結する深刻な問題。今回紹介するFairlife(米国のプレミアム乳製品ブランド、コカ・コーラが出資・所有)は、ヨーグルト容器の品質検査にElementaryのAIビジョン検査を導入することで、ラベルやフタの不良検知を100%自動化し、不良品をほぼゼロに抑えた。しかもこの仕組みはわずか数日で導入・稼働が完了し、従来のルールベース検査では対応しきれなかった問題を一挙に解決している。





Fairlifeは、栄養価と品質にこだわる乳製品ブランドとして知られ、コカ・コーラグループの一員として米国市場で急拡大している。新たに立ち上げたヨーグルトラインでは、フタが完全に装着されずに流出したり、印字のズレ・文字の欠けなどが多発。人手による目視検査だけでは見落としが発生していた。特に従来のルールベース検査は「印字がこの位置にあるべき」という前提がずれると正常・不良の判定がうまく機能せず、現場では余計なトラブルが続いていた。



  • 1日数千個のヨーグルト容器を自動検品

  • ラベル検査の自動化率:100%

  • 数日で導入完了

  • フタの欠品や印字不良をほぼゼロに



Fairlifeが採用したElementaryのAIビジョン検査は、カメラとセンサーを組み合わせてヨーグルト容器を多角度で撮影し、AIがフタ装着やラベル印字を瞬時に判定する。

  • AIが“正しい位置から多少ズレてもOK”と判断可能 ルールベースでは対応が難しかった印字位置のブレにも適応し、必要範囲を外れるミスだけを検出

  • 作業ラインへの組込みが容易 設備自体がコンパクトで、数日で導入・稼働可能。フタの有無や印字の可読性をリアルタイムで検査し、不良品を自動排除

  • データ蓄積で原因追究がスムーズ どんな不良がどのタイミングで発生したかを記録し、工程改善に役立てる




(1) 従来のルールベース検査を突破する柔軟性

コード印字が微妙に位置を変えると誤判定してしまうルールベース方式では対処できなかったが、AIは画像全体を学習し“許容範囲内のズレ”を許容、ほんの些細な欠陥や不良だけを捉える


(2) 短期稼働で大量生産ラインをカバー

多くのAIシステムは長期の準備が必要と考えられがちだが、Elementaryは数日でセットアップ可能。大量生産の真っ只中でも試験導入し、不良率を素早く改善できた



  • 高額投資や長期間の準備がなくてもAI導入が可能 短期間で設置・稼働する事例は、中小規模工場でも十分に実行可能

  • “ズレ”や“変動”がある工程ほどAIビジョンが威力を発揮 人間でもルールベースでも取りこぼしがちだった微細な不良や誤差をAIが補足し、品質保証の精度を上げられる。また、変化し続けるデザインにも柔軟に対応が可能

  • 不良率の低減が直接ブランド価値とコストに影響 欠陥品が市場に出回るとブランドを傷つけるが、AI検査が欠陥を早期排除することでリコールやクレームリスクを大幅に下げ、コスト削減にもつながる



Fairlifeの事例は、乳製品という品質要求の厳しい領域でも、数日でAI検査ラインを構築して100%のラベル検査を自動化し、包装ミスを事実上ゼロに近づけられることを示した。日本の中小食品メーカーや工場でも、手作業検品に限界を感じているなら、こうしたAIビジョン検査で大量生産ラインの品質向上とコスト削減を両立できるだろう。


Quest AIでは、短期間でのAI導入を望む企業に向け、海外事例に基づいた効率的なサポートを提供している。まずは一部工程からAI化を試し、製品品質とブランドイメージを底上げする道を検討してみてはどうだろう



【補足:Elementaryとは?】 Elementaryは、食品や製造業向けのAIビジョン検査ソリューションを提供する企業。従来のルールベース検査が苦手とする微妙な位置ズレや複雑な欠陥にも柔軟に対応し、短期間(数日)で導入が可能。カメラとAIアルゴリズムの組み合わせで、ラベルや印字品質、パッケージ装着などを正確に判定し、大量生産ラインでも高い精度を維持する点が特徴となっている。

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