Klarna:導入1ヶ月で1.5億ユーザーの顧客対応の3分の2をAIアシスタントで自動化
- Ryosuke Murai
- Jan 14
- 3 min read
Updated: Feb 20
生成AIの台頭にともない、企業がAIを活用する領域は急速に広がっています。なかでも特に導入が進んでいる分野の一つが「カスタマーサポート」です。スウェーデン発の決済サービス企業Klarna(クラーナ)は、AIアシスタントを導入してわずか1か月で顧客対応の3分の2を自動化することに成功しました。本記事では、Klarnaの事例を通じてAI活用の可能性とビジネスインパクトを、具体的な数値とともにご紹介します。

Klarnaは世界中で1億5,000万人以上の顧客と50万以上の加盟店を抱える、大手フィンテック企業です。「後払い決済」「分割払い」など、柔軟な決済ソリューションをグローバル規模で展開し、ECサイトや小売事業者向けにユーザーの支払いをスムーズにするサービスを提供しています。こうした利便性を武器に、利用者数を急速に伸ばしている注目企業です。
230万件の会話をAIアシスタントが処理。Klarnaのカスタマーサービス対応の3分の2を担う
700人分のフルタイムスタッフに相当する業務を遂行
顧客満足度スコアは人間のオペレーターと同等
問い合わせ解決の正確性が向上し、リピート問い合わせは25%減少
問題解決までの所要時間は導入以前の11分から2分未満に短縮
23の市場で24時間365日対応し、35以上の言語でコミュニケーション
2024年には、Klarnaの利益を4,000万ドル(約60億円)改善すると見込まれている
これらのデータから、AIアシスタントの導入がコスト削減だけでなく、顧客満足度や業務効率の向上にも大きく寄与していることが明らかです。
24時間365日対応:時間帯や休日に関係なく、常に顧客対応が可能
35以上の言語対応が可能
顧客の支払い残高や今後の支払いスケジュールをリアルタイムで把握し、スムーズに案内
いわゆる定型的な問い合わせ対応に加え、各国の言語・通貨事情を瞬時に考慮するなど、国際的なビジネスを展開するKlarnaならではの複雑性をAIがカバーしています。
経営トップによる「AIの可能性」へのフルベット
Klarnaは、生成AIが普及し始めたごく初期段階からその可能性に注目していました。ChatGPTがローンチされた2022年11月直後、共同創業者/CEOのセバスチャン・シェミアトコウスキーは速やかに活用を決定。結果、欧州フィンテック企業として最初のChatGPTプラグインをグローバルに展開する企業となりました。
社員の高く幅広いAIの利用
社内ではカスタマーサポート用AIアシスタントにとどまらず、90%の社員が生成AIを日常的に活用しています。特にIR部門での利用率は93%、マーケティング部門は88%、法務部門は86%と、幅広い部門が積極的にAIを使いこなしているのが特徴です。活用範囲は問い合わせ対応からソフトウェア開発まで多岐にわたり、企業全体でデジタル変革が進んでいるといえます。
トップのコミットが鍵
AI導入で大きな成果を出すには、経営層が「AIにフルベットする」という強い姿勢を示すことが重要です。
結果が出るまでが早い
うまく導入できれば、問い合わせ対応時間の短縮やスタッフ負荷の削減など、導入後の効果を短期間で実感できます。
幅広い分野で活用可能
AIはカスタマーサポートだけでなく、経理・法務・マーケティングなどあらゆる業務に応用可能です。小規模でも積極的に導入すれば、他社との差別化やコスト削減につなげられます。
【まとめ】
Klarnaの成功事例は「経営トップがAIの可能性を信じて投資し、社員全体が広く活用することで、短期間に大きな成果を上げられる」ことを証明しています。中小企業であっても、リソースを集中して投資すれば同様の効果が期待できるでしょう。事業規模の大小に関わらず、いまこそAIをどう使うかが企業成長の大きな分岐点となっています。
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